データサイエンスを通じて、経営・政策・観光を含むあらゆる分野を対象としたデジタルエコシステムやデジタルトランスフォーメーションの実現を支援する
最新の情報環境をツールとして、企業の経営・生産活動や自治体・公共施設の運営、地域商業や地域活性化などに役立てる方策を考える研究を行っています。ツールを使って取得したデータを分析したり、また必要とするツールが世の中に無ければ新しい発想のシステムを自らプロデュースすることも行います。また、システムという入れ物の魂となるテキスト・画像・音声・映像といった魅力あるコンテンツの設計・情報表現についても取り組んでいます。
- 経営情報学
- デジタル・マーケティング
- 観光情報学
- コンテンツデザイン
- Web・スマートフォンアプリ開発
- データサイエンス
- シミュレーション
- ・・・
観光と情報
これからの地方自治体やDMOによる観光施策の立案では、データの収集と分析に基づく思いつきや場当たり的でない事業戦略の策定が求められています。また、継続的にデータを収集することで、KPIを測定し事業評価や改善につなげることが重要です。
事業の対象となる地域や客層を絞り込んで旅行客の詳細な属性・嗜好・移動データを独自に収集することで、精緻な分析が可能になると考えられます。移動データの収集方法としては、旅行客の所持するIC乗車券や携帯電話・スマートフォンのGPS機能が有効です。
我々は、自治体やDMO(観光地域づくり法人)、旅行業界と共同で、ICTを活用した観光行動調査システムの構築と収集したデータの分析を行っています。
2014 年度河津桜まつり調査
ICTイノベーション研究センターが受託した総務省SCOPE(戦略的情報通信研究開発推進事業:武藤教授代表)では、伊豆半島河津桜まつりにおける観光客の動線調査を実施しました。その際、我々は、スマートフォン用のGPSログアプリとWebアンケートシステムを提供しました。
2015年度ふじのくに割調査
民間旅行事業者と共同で、内閣府による「地域住民生活等緊急支援のための交付金事業」を活用した静岡県の「ふるさと旅行券(ふじのくに割)」利用宿泊客に対してアンケート及びGPS調査を2015年9月から約半年間実施しました。
静岡県熱海市ICT調査(2017年〜)
民間旅行事業者と共同で、熱海市の「意外と熱海」プロモーション事業のマーケティング調査に協力しています。また、スマートフォン向け「意外と熱海」アプリを開発し、文化施設「起雲閣」のコンテンツなどを公開しています。
2019対面調査報告書
山形県鶴岡市ICT調査(2020年〜)
山形県鶴岡市のDMOと共同で、鶴岡市の観光マーケティング調査に協力しています。2021年度からは、出羽三山神社様を対象とした体験型観光に参加Webシステムを提供して協力しています。
荘内日報ニュース 2020年03月21日付け紙面
朝日新聞デジタル 2021年06月23日付け紙面
文化施設と情報
渡邉研究室では、静岡県立大学に隣接する静岡県立美術館と、文化施設におけるICTの利活用について長期にわたり連携して研究を行っています。
VRとWebを連携させた展示シミュレーションを有する仮想美術館システム
仮想美術館とは、美術館に収蔵されている作品やそれぞれの作品の解説などを、デジタルデータとして記録し、記録メディアやWebを通じてパソコン等で鑑賞できる美術館システムの総称です。仮想美術館には、Webページ内で作品画像を紹介した簡易なものから、CGによるVRコンテンツとして実装されたものまで様々なシステムが公開されています。
我々は、2001年から静岡県立美術館と連携し、Web投票機能と展示シミュレーション機能を有する仮想美術館システムを構築しました。従来の仮想美術館システムは、美術館側の用意したコンテンツを一方的にユーザに閲覧させるだけであったのに対して、本システムでは、ユーザの投票によってCGで表示される展示室内の展示構成がリアルタイムに変化します。現実の美術館では、空間的なスペースの制約から、数千点以上の収蔵品をすべて展示することは不可能ですが、本システムを用いることによって、ユーザのニーズを収集し、現実の美術館の限られたスペースにその結果を反映させることが可能となります。
また、2007年にはこれらの成果を応用した「ロダン館バーチャル体験システム」が開発されました(2Fロダン館入り口、および、富士山静岡空港2F)。
スマートデバイスを用いた鑑賞行動分析システムと作品推薦による作品資産の有効活用
美術館や博物館において、入館者の鑑賞・観覧行動を収集し分析することは、今後の展示方法の改善やモデルコースの作成などにおいて重要です。近年、鑑賞支援専用のスマートフォン用アプリを提供する美術館・博物館が増加しており、スマートフォンの各種センサーを利用して入館者の館内での現在位置を推定し、その位置に合わせたガイドを提供する試みも報告されています。
我々も、静岡県立美術館のロダン館を対象に、スマートフォンアプリ「ロダン館ガイド」を核とした鑑賞行動分析システムを構築しています。ロダン館ガイドは、館外では作品のカタログとして、館内では音声ガイドとして機能します。また、館内に設置したBLEビーコンからの電波を受信し、鑑賞者の位置を推定し記録します。記録したデータは鑑賞者のプライバシーに配慮し勝手に収集することはなく、同意を得た方からのみアンケートデータとともに回収する方式としています。
2015年11月から4ヶ月間のモニター調査を行い、380人の方にデータ提供のご協力をいただきました。得られたデータから、初入館者は時計回りに廻る方が多く、これは有名作品である「考える人」が左手奥に展示されているからだと考えられます。
また、公的文化施設では、多くの作品が公的な資金で購入したものです。限られた一部の人気作品に注目が集まる中で、せっかくの隠れた名作が素通りされてしまっては作品資産が無駄になってしまいます。
そこで、ロダン館ガイドでは、鑑賞者の作品閲覧履歴から作品の人気ランキングを計算し、ある期間で最も鑑賞時間の短かった作品をバナー表示によって推薦しました。バナーは鑑賞者の行動を強制するものではなく、マーケティング・消費者心理モデルの古典であるAIDMAモデルで言えば、最初のAttention(注意・注目)を促しているだけです。しかし推薦後、その作品は29作品中の最高で8位までランクが上昇したことを確認しました。このように、アプリは単なる音声ガイド機の置き換えというだけでなく、作品資産の有効活用や、施策の効果測定にも活用が可能です。
メディアと情報
企業や自治体などにおける広報・広告活動においては、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなどの従来型のマスメディアだけでなく、インターネットでのソーシャルメディアやCGM(消費者生成メディア)を活用したプロモーションが重要視されています。具体的にはSNSやブログ、写真共有、動画共有などのサービスが無視できない存在となっています。
我々は、これらのサービスを多角的に活用し、情報を効果的、効率的に発信するためのシステムについて実践的に活動しています。
オープンデータとソーシャルメディアを活用したWeb-basedデジタルサイネージシステム
デジタルサイネージは「電子看板・掲示板」などと呼ばれ、ネットワークに接続した電子的な表示機器により情報を提供するシステムであり、場所や時間などの条件に合わせたプッシュ型のコンテンツの提供が可能であるため、広告・広報媒体として急速に普及しています。商業的な広告媒体やアート・エンタテインメント利用、公共空間での案内板に留まらず、組織内での情報共有や緊急時の速報情報の提供などにも活用が進んでいます。
一方、デジタルサイネージを設置しただけでは、人々の注目を継続的に集める事はできず、逆に全く無視されてしまうことさえあり、こうした現象はDisplay Blindnessと呼ばれています。継続的に人々の注目を集めて効率よく情報を発信するためには、観る人を飽きさせないようなコンテンツを豊富に提供する必要がありますが、すべてのコンテンツを設置者が自前で製作したり,購入することは高コストです。
我々は、これまでに大学における組織内での情報共有を目的として、オープンデータやソーシャルメディアを活用したデジタルサイネージシステムを制作し、その評価を行ってきました。オープンデータとソーシャルメディアの活用によって、コンテンツ制作のコストを削減し鮮度と親近感、魅力度の向上を図っています。制作したサイネージは静岡県立大学における防災用電子掲示板に採用され、学内18箇所に設置されています。
我々が制作したサイネージは、いわゆる第3世代型と呼ばれ、Web技術を採用しているため再生装置を選ばずコンテンツ作成やWebサービスとの連携も容易です。この特性を活用して、平時には観光情報などを配信し、非常時には緊急情報や避難情報を配信する観光・防災サイネージとしての展開を民間企業と進めています。2016年7月からは岩手県遠野市の「道の駅風の丘遠野」に1号機を設置し、2016年10月には東京ビッグサイトで開催されたRISCON2016(危機管理産業展)において展示されました。CM機能を搭載し、自治体などで設置する場合も広告収入を得ることによって設置管理費を回収するビジネスモデルが考慮されています。
動画メディア活用の実践的研究
企業や自治体などにとってのPR活動では、新聞、雑誌、テレビ、ラジオといったマスメディアを通じたパブリシティ以外に、オウンドメディアとしての広報誌やパンフレット、カタログなどの紙媒体はもとより、現在ではインターネット上のWebサイトが大きな役割を担っています。さらに、文字や画像だけでない訴求力を持つ動画は、近年映像制作環境が低価格化しYouTubeなど共有サイトが動画配信のパブリッククラウドとして活用できることや、スマートフォンによる視聴環境が整ってきたことなどから、有力なメディアとして各組織が注力しています。例えば、静岡県のふじのくにネットテレビ、東京都のTOKYO MOVIEなど自治体での活用も活発です。
我々は、 組織における動画メディア活用を実践し、それらに関わる知見を深めるために、静岡県立大学の動画広報サイト「静岡県立大学テレビ」を運営しています。
研究助成、共同研究等
渡邉研究室では、様々な研究機関・企業と共同で研究を行っています。共同研究の問い合わせは随時受け付けています。
研究助成、共同研究リスト
過去の活動
- 計算機シミュレーションの高速化や計算アルゴリズムの研究
様々な自然・物理・社会現象をコンピュータを用いて計算し、予測するシミュレーションの分野では、扱う問題を精密にモデル化した場合、超大規模かつ高コストな計算が必要となる。従って、計算時間や必要メモリの少ない効率のよい計算アルゴリズムを開発する必要がある。また、ベクトル演算からクラスタ、そして単一のCPUの動作周波数の向上が頭打ちとなり余剰したトランジスタ数を活用したマルチコア・メニーコアCPU/GPUの環境を効果的に用いたシミュレーションアルゴリズムの研究開発を目指している。(詳しくはコチラ) - 計算機ハードウェアの設計を支援する技術の研究
半導体実装技術の進歩により、チップ内に集積化されるトランジスタ数は数十億に達し、さらにアナログ・RF・ディジタル混載のシステム・オン・チップやMEMSなど、LSIの大規模化・多機能化は進展し続けている。また、動作周波数の高速化と製造プロセスの微細化は、寄生容量・抵抗・インダクタンスによる信号配線遅延の影響や製造ばらつきの問題を顕在化させ、トランジスタ・レベルでの物理設計とその解析検証技術の重要性が増大している。本研究室では、半導体チップ・チップを搭載するパッケージ・それらを搭載する高密度実装基板(PCB/PWB)の物理設計を支援するための設計支援ソフトウェアの研究開発を行っている。(詳しくはコチラ)
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